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を指令するとともに支援情報を提供した。当該指令を受け、指揮隊を含む八隊が出動した。
出動途上に黒煙が確認されたため、後続隊に対し、風下への類焼防止活動をするよう大隊長が命令。先着隊が到着したときには、すでに二階建て住宅の建物全体に火が回り最盛期の状況を呈しており、また、出火建物北側に隣接する鉄骨二階建て倉庫に火の粉がふりかかり、類焼の危険が大であった。
先着隊は、出火建物の消火活動を開始するとともに隣接する倉庫の類焼防止活動をするため二口放水で防ぎょにあたった。後続隊にあっても出火建物等に三口放水して消火活動及び類焼防止活動にあたったが火勢は熾烈を極め、かつ、強風にあおられた猛煙が消火活動等を阻み、倉庫への類焼を阻止できなかった。倉庫内は、炎の熱気と煙とで内部進入が思うようにできない状態であったので、排煙機による煙の排除をしながら、消防隊及び特別救助隊が呼吸器を着装して、内部に進入し防ぎょにあたった。また、指揮本部では出火建物に逃げ遅れがないことを確認したので延焼防止及び類焼防止活動に最大の戦力を傾注するように出動各隊に指示するとともに火の粉が数一〇m舞上がっている状況であったので消防団の二個部に対し、飛び火警戒にあたるよう指示した。
一七時一七分ごろ、飛び火警戒中の消防団員に「火元から一五〇m北側のお寺と民家が燃えている。」と地元住民より通報があり、消防団の伝令が「第二火災発生により消火活動をする。」と報告してきた。報告を受けた指揮本部では直ちに消防隊二個小隊の隊長に対し、第二火災現場へ転戦し火災防ぎょにあたるよう命令。
命令を受けた消防隊二個小隊は、道路が狭隘なこととその道路の両側に密集した住宅などによって転戦に四苦八苦したが各隊の懸命な消火活動等により一七時三五分に第一反び第二火災現場ともに鎮火した。その後、地元消防団の分団長にあとの警戒を依頼し現場を引きあげた。
この火災で、全焼一棟、半焼一棟、部分焼二棟の計四棟がり災したが、強風でしかも住宅密集地という悪条件下であったにもかかわらず、各消防隊を含め一人の負傷者もなかったことは、不幸中の幸いであった。
三 むすび
一箇所の火災の場合は、包囲体形で注水し類焼防止にあたれるが、道路が狭隘で、かつ住宅が密集している地域で一旦水利に着車して放水を開始すると容易に転戦ができないのが現状である。その点において、消防団は、多数の人員と消防車両を有しており、同時出火又は飛び火による火災等複数の火災に即応が可能である。本件火災を最小限に防ぎょしたこと等を考えると、消防団員に対する現場活動マニュアルを作成するなど、より一層の充実強化を検討しておく必要がある。
また、職員に対しても住宅密集地の活動要領など細部にわたるきめ細やかなマニュアルを策定し、活用するとともに、消防団との連携した訓練を行い、日頃から災害を想定した対応策が不可欠である。
(牧野覚)

 

救急・救助

水中翼船(ジェットフォイル)座礁事故について
両津市消防本部(新潟県)
当市は、おけさと朱鷺で知られ、風光明媚な佐渡ヶ島の東部に位置し、人口一九、○○○人余りで、海岸線は一〇〇?q、地形は中央部に平坦地があり、南北には大佐渡・小佐渡・両山脈の山裾が走り山岳丘陵地帯を形成している。
また、佐渡ヶ島の玄関両津港を有し、ここを原点として島内主要幹線網が扇状に伸び島内の交通経済情報等、主要の位置にある。
当消防本部は、一本部、一署、一団、職員三八人、団員六五九人一内女性消防団員七人一、消防隊・救急隊・救助隊兼務で組織構成され、

 

 

 

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